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2016年09月12日

ベーカー嚢腫【鍼灸よろず相談】

Q72歳の主婦です。膝(ひざ)の裏が腫れ、整形外科でベーカー嚢腫(のうしゅ)と診断されました。鍼灸治療はどうでしょうか。


A膝の周囲には多くの滑液包というものがあります。これは関節内の滑膜と同じような細胞の袋状の組織からなります。ベーカー嚢腫とは膝の裏である膝窩(しっか)の滑液包が何らかの原因で炎症をおこし、異常に滑液がたまる病気です。
症状は膝窩の腫れで膝を曲げる時に圧迫感や違和感があり、痛みを訴えることは少ないです。ただ、時に大きくなって周囲の血管や神経を圧迫し、膝の痛みや下腿(かたい)の腫れ、静脈炎などをおこすこともあります。変形関節症に伴い女性に多い疾患です。
76歳のTさんは変形性膝関節症があり膝関節に水が溜まり、同時にベーカー嚢腫を併発しました。痛みや運動制限はありませんが、異物感が気になります。鍼(はり)治療は膝蓋(しつがい)上辺二穴、膝眼(しつがん)穴、委中(いちゅう)を使い、ほどなく違和感は解消されました。
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日経新聞 夕刊【鍼灸よろず相談】にて掲載したものの一部です。
石野尚吾
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2016年09月05日

耳管狭窄症【鍼灸よろず相談】

Q52歳の主婦です。耳管狭窄(きょうさく)症と診断されました。鍼灸はどうですか。


A 耳管はのどの上と中耳を連絡する管です。通常この管は閉じていますが、唾液や物を飲み込んだ時、あくびをしたときなどに開き、中耳の空気圧と外の大気圧のバランスをとっています。急性鼻炎などで耳管がせまくなるところの調節がうまくいかなくなり、いろいろな症状が出ます。主な症状は耳がふさがった感じがして自分の声が響いて聞こえる、耳鳴りがするなどです。
50歳の主婦のGさんは耳管狭窄症と診断され、耳管通気療法を受けました。自覚症状は、自分の声はこもって響き、大きく聞こえ、ほかの人の声は聞こえにくいというものです。鍼(はり)治療を週に1回実施し、一ヵ月半後に7割程度回復してきました。
使用した経穴は耳の後ろのくぼみにあり、耳の症状や頭部から首、肩にかけての症状を改善する動きのある翳風(えいふう)や、耳の前にある聴宮(ちょうきゅう)などです。
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日経新聞 夕刊【鍼灸よろず相談】にて掲載したものの一部です。
石野尚吾
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2016年08月29日

風邪の予防【鍼灸よろず相談】

Q「毎年冬になるとかぜを引きます、予防法として鍼灸治療どうでしょうか」


A「かぜは身近な病気で誰でもよくかかる、呼吸器の急性炎症性疾患の総称でかぜ症候群ともよばれています。かぜの原因のほとんどがウイルス感染によるもので、そのほか細菌感染や間接的に気温や湿度も関係しています。毎年冬になるとさまざまなかぜの流行がみられますが、インフルエンザは悪性のかぜで、いわゆる普通感冒とは区別をしています。同じ環境にいてもかぜを引きやすい人と引きにくい人がいます。かぜの予防や治療に使うツボはかぜが体に入る場所という意味の風門(ふうもん)です。背中の第二胸椎棘突起と第三胸椎棘突起の間で指二本のところ。かぜの引きはじめに首から背中にかけてゾクゾクしてきます。予防としては風門の付近が寒くならないように注意しましょう。そのほかに手の親指にある少商(しょうしょう)や胸にある 膻中(だんちゅう)などを使います。
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日経新聞 夕刊【鍼灸よろず相談】にて掲載したものの一部です。
石野尚吾
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